(3)セット販売・分離販売
商品ミックスとして、複数の商材を一緒に販売することがあります。
例えば、パソコンを買うといろいろなソフトがついてくることがあります。また、最近では、パソコンと一緒に、ADSLサービスを販売することが流行っていますが、これも一種のセット販売です。また、遊園地によっては、入場料と乗り物料金が一緒になったチケットを販売しているところも少なくないですが、これもセット販売といえましょう。
セット販売は、バンドル販売(bundleとは束ねるという意味の英語です。)または抱き合わせ販売と呼ばれることがあります。セット販売価格は、それぞれの価格を加えたものより低くするのが普通です。したがって、これは値引きの1類型とも言えます。なぜ、セット販売が値引きの手段として多用されるかというと、直接値引きするわけではないので、その商品自体が安いというイメージを形成するのを避けることができるのです。
(アンバンドリング)
一方、本体と通常は一緒になっている商材を、あえて別々にして販売するのが、「アンバンドル」です。
例えば、QBハウスなどに代表される格安のカットもアンバドリングの一種です。通常、理髪店に行くと、カットだけでなく、シャンプーと顔そりも一緒にやってくれます。店舗によっては、マッサージもやってくれるでしょう。言わば、これらのサービスがセットになった価格設定となっているのです。
4,000円の総合調髪サービスと1,000円のカットと比べれば、4分の1の値下げのように感じられますが、実際にはサービスを限定することによる面が強いのです。実際、総合調髪サービスでは40分ほどかかり、1,000円カットでは10分ほどしかかかりません。したがって、時間当たりのコスト(人件費)を比べれば、どちらも同じなのです。ところでQBハウスには電話もキャッシャーもないそうです。それは、カット中断の原因になるからだそうです。(料金は自動券売機でチケットを購入して支払う仕組みになっています。)
ネット証券による株式売買の仲介サービスも一種のアンバドリングと捉えることができます。従来、証券会社では、株式売買の注文を処理するだけでなく、株式投資に関する助言も合わせたサービスとして、手数料を設定していました。ネット証券の場合は、株式投資に関する助言を切り離し、株式売買の注文の処理にサービスを限定することで低価格を実現したのです。
旅館でもアンバンドリングが進行しています。高級旅館を安く泊まれるプランに目をひかれてよく調べてみると、1泊2食付きではなく、1泊朝食付きの料金だったり、宿泊のみの料金だったりします。これも1泊2食付きのサービス料金が当たり前だった旅館からすれば、一種のアンバンドリングです。これは、業界では「食泊分離方式」といって、かなり大きな動きになりつつあります。消費者からすれば、選択肢が増えるのは大変ありがたいことです。