PPMとビジネススクリーンに共通する課題~プロダクト・ポートフォリオ・マネージメント~
PPMとビジネススクリーンに共通する課題として、事業間の相乗効果をまったく無視している点も、多くの研究者によって指摘されています。PPMでの負け犬に分類された事業が撤退したことによって、他の事業で生産している製品まで弱体化してしまうことは十分にあり得ることです。撤退事業の製品が主力商品の競争力を決定づけるような基幹部品である場合は、基幹事業にさえ影響を与えかねません。
PPMとビジネススクリーンに共通する課題として、構成員の心理的影響もあります。PPMでの負け犬に分類されるだけで、その事業に所属している社員の士気へも大きく影響します。ましてや、PPMでの負け犬に分類された事業は撤退と決められているのでは、なおさらでしょう。したがって、PPMやビジネススクリーンを導入する場合には、構成員に与える心理的影響に十分配慮する必要があります。
キャッシュフローと言う指標で評価していることによる課題もあります。PPMは財務主導ですべてを分析しています。ビジネススクリーンもキャッシュフローが重視されています。その結果、技術的な競争力は判断の要因として軽視されがちです。そのため、PPMやビジネススクリーンでは企業の長期的な競争力の確保する手法としては不十分であるとの指摘もあります。少し専門的な観点からは、外部からの資金調達について考慮されていないという指摘もあります。PPMでは、
内部資金の回転にのみ目が奪われております。設立したばかりの小さな会社ならともかく、ある程度の会社でれば、銀行からの借入や社債や株式の発行による資金調達も可能であります。魅力的な分野であれば特に資金調達は容易です。したがって、PPMにおけるキャッシュフローを事業展開上の制約条件と捉えてしまうと判断を誤ることが多いということです。