はじめに
「どうして売上げが伸びないのだろう!」
「なぜ、利益が増えないのだろう!」
このようにお悩みのビジネスマンの方は多いと思います。
その一方で、
「即効薬など無いし…」
「我々ではどうしようもないし…」と
半ば投げやりになっていないでしょうか。
待ってください。実をいうと、自分達だけでできる即効薬があるのです。しかも、コストもかかりません。
それは、「値付け」を変えることです。
売上げを伸ばす方法としては、製品開発や広告・宣伝、新しい流通チャンネルなども考えられえます。
また、新しい流通チャンネルを開拓するには相手の了承が必要ですし、時間もかかります。
新たに広告・宣伝を打つにも広告代理店などとの交渉が必要ですし、時間もかかります。経費もかさみます。
飛ぶように売れる画期的な商品開発には、商品開発部などの打ち合わせが必要ですし、時間もかかります。最終的な投資金額の目処が立ちにくいというリスクは大きいものです。
しかし、いまある商品の値段を変えるのなら、明日からできます。権限内なら自分ひとりで決められます。値段を変えるだけなら(価格表の作り直し費用は別として)特に費用がかかるわけではありません。
こんなに使えるツール(素晴らしいツール)なのですが、意外と理論武装されていないため、合理的な選択肢としては敬遠されがちです。その証拠に、例えば、値下げという手段は、売れ残り商品の処分手段として追い込まれた状況で止むに止まれず選択されることがほとんどです。
私は、早稲田大学政経学部経済学科の出身です。価格理論の講座を受講しましたが、中味はミクロ経済学で実践にはあまり役立ちません。大学を卒業して14年ほど東京証券取引所で勤務していましたが、そこで習ったことといえば「価格は需要(買い注文)と供給(売り注文)で決まる」の一言です。アメリカのボストン大学でMBAを取得しましたが、そこでもプライシング(価格決定)のクラスはありませんでした。マーケティングのクラスで少し触れた程度です。中小企業診断士の資格ももっていますが、中小企業診断士の試験でも値付けはそれほど重視されていません。2001年から経営コンサルタントとして独立して、実際に値付けをしているビジネスマンにどのようにして値付けをしているかと尋ねると、「相手の顔色を見て決めている」とか「かかったコストより高けりゃいい。」という答しか返ってきませんでした。
こうした経験から、あまりにも値付け(価格決定)について、対応が遅れているという感じを抱きました。その原因はと考えると、良い参考書がないことが大きな理由ではないかと思い当たりました。実際、分かりやすく整理された文献が非常に乏しいのです。そこで、この特集記事を書いて、値付けについて、整理することにしました。
この特集記事を読めば、値付けについて、キチンと整理ができます。そして、儲かる値付けのバリエーションが身に付くはずです。儲かる値付けを身に付ければ、直ぐに売上げアップ・利益増加が期待できます。読者のみなさまには、きっと「そんな方法があったのか知らなかった。」とか「私の値付けは間違っていた」と反省される方が多いでしょう。過去は過去、これからが大切です。なかには「なんだ。やっぱり私の値付け方法であっていたのだ。」と安心する方もいるでしょう。それは、それで結構です。明日から自信を持って値付けをしてください。
読者の中には私は値付けには関係ないという方もいらっしゃるかもしれません。ビジネスパーソンとしては、関係なくても、生活者としては価格に関心があるはずです。これを読むことで、賢い消費者になれることでしょう。
まずは、話題になった企業の値付け方法(価格政策)や、これまで話題になった値付け方法などをみてみます。
何事も楽しみながらやることが大切です。肩肘を張らず、気軽に読み始めてください。
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